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こんにちは!
島暮らしのおかもってぃです。
島の歴史を知ってから観光した方が絶対面白い!
島に越してきて、いろいろな歴史を調べてみて思ったことです。
そんなわけでこのブログでも島の歴史を紹介していきます。
今日は島の形成期について。
昨年行われた久米島の地学巡検ツアーの内容も含めて最新の知見も紹介します!
・太古の昔は中国と陸続きだった。
・約2000年~200万年前の火山活動により現在の姿になった。
・800万年前は3000m級の山があったかもしれない。
目次
火山の島久米島
久米島の地質に詳しい、神谷先生は
『久米島は一口で言うと火山の島である』と述べています。
数千万年~数百年前の活発な火山活動により久米島は形成されたとしています。
昔は中国と地続きだった
2000万年前、その頃は東シナ海がなく、中国と琉球列島が陸続きだったと言われています。
その頃に、イリオモテヤマネコやアマミノクロウサギといった哺乳類が移動してきました。
ちなみに現在は生息していませんが、久米島でも鹿の化石が見つかっています。
しかしその後、火山活動が活発になりはじめました。
1500万年前、久米島では、現在のアーラ岳にがある地層、阿良(アーラ)岳層が形成されます。
この阿良層からはなんと金が取れたそうです(現在の字銭田辺りから)。
さらに、海没により東シナ海ができ、琉球列島は大陸と隔たれることになるのです。
その後、200万年前まで火山活動が続き、現在の久米島に
約800万年前、現在の真謝や真泊~山城にかけての山裾に分布する真謝層が出来ます。
この真謝層からは牡蠣の化石が取れるのですが、
ここ久米島では現在、海洋深層水を用いた“世界初”完全陸上でのカキ養殖が行われています。
800万年の時を経て、牡蠣が再び久米島に。
なんだか感慨深いですね。
その後、300万年前に阿嘉層、200万年前に宇江城岳層が形成され、島はほぼ現在の姿になります。
島の景勝地であるタチジャミやアンマーグスクはこのときに出来たと言われています。
沖縄で育てられている全ての食物が育てられる
琉球列島には主に
●国頭マージ(55%)
琉球列島に広く分布していて、主に本島中部から北部にみられる土壌。
鮮やかな赤褐色の酸性土壌、パイナップルや果樹の栽培に適している
●島尻マージ(27%)
古代のサンゴ礁の化石である琉球石灰岩が風化して出来た土壌で、主に本当ちゅう南部や八重山地域に分布している。
暗褐色の弱アルカリ性、サトウキビや野菜の栽培に適する。
●ジャーガル(8%)
灰色を帯びた弱アルカリ性の重粘性土壌。
サトウキビや野菜の栽培に適する
●ニービやクチャといった沖積土壌(10%)
浅瀬や河口で堆積した砂や泥により形成された地層。
ミネラル分が豊富なクチャは美容パックに使われたりする。
上記の4つの土壌で構成されています。
酸性土壌は野菜に不向き、アルカリ性土壌は果実に不向きといった特徴があるため、
例えば、沖縄本島北部は野菜を育てるのにあまり向いていません。
しかし、久米島には酸性土壌もアルカリ性の土壌も存在するため、琉球列島で育つ植物をすべて育成できるという稀有な条件を備えています。
酸性の土壌を活かして栽培されたマンゴーやパイナップルがシーズンは美味しいですよ!
最新の知見『久米島には3000m級の山があった』
昨年度、参加した地学巡検ツアーで神谷先生がおっしゃっていたことです。
その地層が形成された当時の様子を知る方法に、花粉分布という手法があります。
地層などの堆積物を分解して、そこに含まれている胞子や花粉の種類を特定し、その植物の性質から当時の気候や環境をうかがい知るための技術
例えば、花粉分析をして
ソテツとかヤシの花粉が検出されたら、
沖縄みたいに暖かい気候だったのかな、と分かるわけです。
この花粉分析を800年前の地層、真謝層で行ったところ
暖かい気候で育つ植物の花粉もあれば、
琉球列島には存在しない寒い地域の花粉も見つかったそうなんです。
ビニールハウスなど、人工的に温度を調節する機会がなければ、
暖かい地域の植物と寒い地域の植物が共生することは通常あり得ません。
ではこの分析結果を説明する事実は何かというと
標高の高い山があったのではないかということです。
山の上って寒いですよね。
一般的に100m標高が上がれば、気温は約0.6度下がると言われています。
そのため、高い山があれば麓は温暖な気候でも、山の上部は寒冷な気候になるんです。
比較的狭い範囲に、温暖な気候で育つ植物と寒冷な気候で育つ植物が存在できるんですね。
事実、鹿児島県にある屋久島は島ながらも2000m弱の標高を有しているため、
いろいろな気候帯の植物を観測できるそうです。
神谷先生は見つかった植物の性質から鑑みて、
3000m級の山があったのではないかと考察しています。
また、200~300万年前の地層からは寒い地域の花粉は見つかっていないことから、この間に大きな地殻変動があったのかもしれません。
800年前の久米島にそんなに高い山があったなんて、想像しただけでワクワクしますよね⇐これは科学オタクな私だけ???
以上、島の形成、及びその特徴をまとめてみました。
ここまで読み進めていただいた、マニアックな方々、本当にありがとうございます。
久米島は地質学者にとっては『パラダイス』らしいです。
もっと知りたい方はぜひ調べてみてください。
では素敵なKumejimaLifeを♪
【参考文献】
・久米島の人と自然 権田雅之、深山直子、山野博哉
・沖縄久米島 沖縄久米島調査委員会
・久米島地学巡検バスツアー資料 神谷厚昭
まだまだ浅学な者が書いております。
もし記述に誤りがありましたら、ご指摘いただけると助かります。
博物館に行くよりも久米島ホタル館にて佐藤館長にお話を聞いた方が、久米島の歴史に限らず動植物や地理的なことなど詳しいと思いますよ。
3000m級の山だったなどは、キクザトサワヘビとの関連から面白い楽しい話が、聞けますよ。
ぜひ、お勧めします。
涼さん>コメントありがとうございます。
ホタル館は何度か訪れたことはあるのですが、そのような詳しい話は聞いたことがありませんでした。
キクザトサワヘビと3000m級の山との関連などとても興味があります。
教えていただきありがとうございます!
初めまして。
大学で地質系の研究をしています、院1年生の牧野といいます。
学部の卒業研究で、久米島に関することを研究していました。
その縁で、Twitterの「いいね!久米島」さんをフォローしていたところ、島暮らしのおかもってぃさんのブログの存在を知り、ごく最近から読ませていただいています。
神谷先生の巡検ツアー、とても興味深いです!去年久米島を訪れて以来、なかなか久米島に行く機会がないのですが、もし巡検ツアーがまた行われるようでしたら、参加したいと思いました。数年前にも、同じく神谷先生により行われていたと、何かで読んだことがあるのですが、「また数年後に開催予定」というようなお話は、今回の巡検でありましたでしょうか?
突然のコメントで失礼します。是非教えていただけないでしょうか。
牧野さん>コメントありがとうございます。
ブログを読んでいただき本当に嬉しいです!
神谷先生による地学巡検ツアーは今年の10月8日に久米島博物館主催で行われました。
大変大好評だったので、また来年もやりたいねという話はありましたよ。
ちょっと博物館の方に聞いてみますね!
島暮らしのおかもってぃ さん
また数年後なのかなーくらいの考えだったのですが、もしかしたら今年もあるかもしれないということで、驚きました。
まだ開催されるかも分からないような状態ですが、是非行きたいと、勝手にワクワクしました。
お手数おかけして恐縮です。
返信ありがとうございます。
牧野さん>いえいえ、お手数だなんてとんでもないです。
「今のところ予定はないけれど、要望があれば、友の会でやる可能性はあるかも」
とのことでした。
※友の会・・・久米島の歴史や文化を学びながら会員同士の親睦を図る会
もし、開催するようであればまたブログでお知らせしますね!
島暮らしのおかもってぃ さん
ありがとうございます!
友の会、検索してみます。
お話できてよかったです。
今後の更新も、楽しく読ませていただきます。
ありがとうございました。(^^)
マキノさん、こんにちは!
ご無沙汰しております。
今年も神谷先生の地質巡検ツアーが行われそうです。
時期はおそらく冬になると思われますが、また詳細が決まり次第ご連絡いたしますね!
島暮らしのおかもってぃ さん
ご返信遅くなり大変失礼しました!
そうなんですね!!
冬・・・まさに卒業がかかっている時期なので参加できるか怪しい頃ですが(笑)、是非参加したいですね~~~。
教えて頂きありがとうございます。
これから頻繁にコメント欄チェックします(笑)
はい、詳しい日程が決まったら一応連絡しますね。
メールアドレスに直接お送りした方が良いですか?
島暮らしのおかもってぃ さん
はい、できたらメールアドレスの方にご連絡頂けると、すぐに気付けるので有難いです!
配慮してくださり、ありがとうございます。
それでは今後の更新も楽しみにしております!